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YACさがみはら分団 2009年1月 活動報告

1月例会: 『真空実験』
日   時: 1月18日(日曜) 午前9時〜12時
場   所: 矢部青少年学習センター 中会議室
参 加 者: 団員16名、団員家族14名、リーダー5名  合計35名


 今日の実験の目的の一つは、宇宙は空気のない真空の世界だからその状態を体験してみること、もう一つは空気のような気体の重さを計る実験をして気体でも重さがあることを体験し、地球には空気があるのに火星や月には空気がないのは何故か、と言う疑問を解決することでした。

 9時に集合して、9時半から先ず「真空の実験」を始めました。地上で真空を作り出すには「真空ポンプ」という機械が必要ですが、これはYACの本部から借りてきました。



1.真空の実験

 先ずペットボトルにつないでスイッチを入れたら、次の瞬間にペットボトルはつぶれてしまいました。その理由を団員に聞いてみたら中が真空になると周りから空気が押しているからつぶれた、と言う答えが返って来ました。その通りです。実は1平方センチに1キロもの力がかかっています。17世紀にドイツのマグデブルグ市の市長さんが行った実験(直径1メートルくらいの半球を2つ合わせて真空にすると、両方から8頭の馬が引っ張っても外れなかったという有名な実験)のことを話しました。実際に直径25センチの球形の容器を真空にして、蓋が中々外れないことを体験して貰いました。

 次は音の実験です。かなり大きい音のする目覚まし時計を中に入れて、真空にしてゆきます。しかし、期待したほど音は小さくなりませんでした。それは容器の底に直接時計を置いたからでした。それを見ていた団員の一人がYACのキャップを中に入れてそのうえに時計を載せたらと言ったので、そのようにしてみたら真空で音が小さくなる様子を体験することが出来ました。
次に水が沸騰する温度についての実験です。お湯を入れた容器を入れて、温度計をセットします。真空にして行くと、水の温度は53度なのに水が沸騰し始めました。

 このほかにふくらませた風船を入れて真空にすると風船がうんとふくらむ様子を体験しました。

 最後に飛行機のプロペラの働きが真空でどうなるかの実験をしました。中心のシャフトの周りを回転できるようにした板をリーダーが用意し、それにプロペラ付きのモーターを載せた装置を子供たちに作って貰い、電池をつないで廻るようにしました。この装置を真空の箱に入れて、ポンプで真空にしたのですが、すぐに回転する力がなくなると思ったのに、真空で空気の抵抗がなくなるので中々止まりませんでした。しばらくするとだんだん遅くなります。この真空ポンプで到達できる真空度は高度にすると26,000メートルくらいですので、やはり真空で空気抵抗がなくなって慣性で廻ったからでしょう。



2.気体の重量測定

 次は今日のもう一つの目的の気体の重さを計る実験です。子供たちに「どうやって計ったらいいか?」と聞いてみると、風船に気体を入れて重さを計ればいいと言う答えが出ましたが、すぐに別な子供がどのくらいの量の気体が入っているか分からない、と言う疑問を出しました。そこでこの方法では、このほかに空気の浮力があるのでそれも考えないといけないことを話し、真空に出来る容器を使って計ることを教えました。

 その方法は真空にした容器の重さを先ず計り、次に計りたい気体を風船から入れて、余った気体を逃がして1気圧の気体を閉じ込めて、計ります。その差が容器の体積の気体の重さになります。真空にしてもつぶれないような250ミリリットルの容器を使って、この方法で次の4種類の気体の重さを計りました。次がその結果です。室温は25度でした。

気体 実測値(25℃) 理論値
250mLの重さ [a] 1Lの重さ ([a]×4) 25℃、1Lの重さ
空気 0.27g 1.08g 1.184g
酸素 0.31g 1.24g 1.308g
炭酸ガス 0.43g 1.72g 1.799g
ヘリウム 0.06g 0.24g 0.164g

 使った秤は簡単な携帯用のデジタル秤でしたが、このようにかなり正確に重さを求めることが出来ました。ヘリュームで誤差が大きかったのは分子が小さくて逃げやすいからでしょう。こうして、気体には重さがあること、その重さが気体の種類によって違うことなどを体験しました。



 最後に長谷川リーダーが物体が惑星やその衛星などの引力に逆らって脱出する速度について次のような表を示して説明しました。

天体 質量(地球=1) 半径(km) 脱出速度(km・秒)
0.0123 1,738 2.38
水星 0.0553 2,440 4.25
金星 0.815 6,052 10.36
地球 1 6,378 11.18
火星 0.1074 3,397 5.02
木星 317.83 71,492 59.53
土星 95.16 60,268 35.48
太陽 332946 696,000 617.5

 惑星や衛星の種類によってその質量と半径から脱出速度が異なっていることがよく分かります。気体の分子の運動の早さがこれを超えると惑星などから飛び出して行きます。長い年月の間にこのようなことが起こって、地球には空気が残り、月や水星には大気がなくなりました。子供たちも地球だけに大気があることの理由が大体分かったと思います。



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