相模原グリーンロータリークラブ
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相模原グリーンロータリークラブ
第494回例会週報

493回 | 495回 | 2002-03週報目次
◆インフルエンザの新しい知識
永井 完侍会員



 昨年の暮れから、インフルエンザが大流行しています。今日は、今年のインフルエンザの特徴や最新の診断法、治療法についてお話ししたいと思います。
  1. インフルエンザとかぜの違い
      インフルエンザはインフルエンザウィルスという特定の微生物の感染によって起こる呼吸器疾患です。それに対し、いわゆる「かぜ」(かぜ症候群)とは、ライノウィルスやコロナウィルス、RSウィルスなど種々のウィルス感染によって起こる上気道炎の総称です。症状については、突然の発症、38を超える発熱、上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状のすべてが出現することが特徴的です。

  2. インフルエンザウィルスのふるさと
      最近、世界のインフルエンザ流行の最先端が中国南部であることがわかってきました。また、さらにおおもとを探ると、シベリア地方からはるばる飛んでくる渡り鳥のカモがそこからウィルスを運んでくるということです。インフルエンザウィルスには人に感染するものの他、トリに感染するものもあります。トリのウィルスはトリの中で、ヒトのウィルスはヒトの中で流行します。ところが、ブタはトリ、ヒト両方のウィルスが感染することが出来ます。そして、ブタの体内でトリ、ヒト両方のウィルスが交じり合い(交雑)、新しい型のウィルスが生まれることがあるのです。中国南部では、ヒト、ブタ、アヒルが比較的密集して生活しているので、最新型のウィルスが生まれやすい環境にあります。最新型のウィルスは渡り鳥や旅行者によって世界中に運ばれていきます。

  3. インフルエンザの種類
      インフルエンザウィルスは、その内部蛋白の違いにより、A型、B型、C型に分けられます。世界規模の大流行を起こすのはほとんどがA型で、新型ウィルスとして登場するのもA型です。これは後で述べますが、さらのアジア型やホンコン型、ソ連型などの種類に分けられます。B型は、症状によってA型と区別することは不可能です。ある一定地域に限った流行となることが多いようです。C型は、長い間その症状や流行形式が不明でしたが、現在では、さまざまな症状を引き起こす異なるグループのウィルスが各地に土着して、小さな流行を起こしているらしいことが分かってきました。

  4. インフルエンザウィルスのH、Nの番号
      A型やB型のインフルエンザウィルスの表面からは、H蛋白(赤血球凝集素)、N蛋白(ノイラミニダーゼ)という2種類の蛋白がウニの棘のように突き出ています。これら2つの蛋白はスパイク蛋白と呼ばれ、ウィルスの感染に重要な働きをしています。ヒトがあるインフルエンザウィルスに対して免疫を持っていても、異なるスパイク蛋白をもつウィルスに対してはその免疫が効かず感染してしまいます。ソ連型インフルエンザにかかったあとホンコン型にかかったり、A型インフルエンザにかかったあとB型にかかったりすることがあるのはこのためです。
      A型インフルエンザウィルスは、H・N蛋白とも複数の種類があり、その組み合わせでさらに分類されます。たとえば、ホンコン型といわれるウィルスはH蛋白が3、N蛋白が2という組み合わせでH3N2ですし、ソ連型はH1N1です。H1,H2,H3はヒトの間で感染が起こり、流行株となりえます。B型インフルエンザではそれぞれ1種類で組み合わせによる分類は行われません。

  5. インフルエンザの変異
      インフルエンザウィルスでは、しばしばスパイク蛋白の変異が起こります。そのため蛋白の抗原性が変わり(抗原変異)、以前の免疫が効かなくなるのです。蛋白の変異は、ウィルス遺伝子の変異によって起こり、不連続変異(大変異)と連続変異(小変異)があります。大変異がおこると、ウィルスの抗原性が大きく変わり、大流行の原因になると考えられています。 A型インフルエンザウィルスは8本の遺伝子を持っていますが、そのうち数本が別のA型インフルエンザウィルスの遺伝子と入れ替わってしまうことを不連続変異といいます。2種類以上のウィルスが同時にブタに感染した場合にその体内で起こるといわれています。例えば、H3N2のウィルスとH1N1からH3N1ができたりすることです。ブタはヒト型ウィルス、トリ型ウィルスの両方に感染しうるため、トリ型、ヒト型、ブタ型の様々な組み合わせのウィルスもできる可能性があります。また、スパイク蛋白の遺伝子の一ヶ所突然変異(点変異)することによって、蛋白の一部が変化することを連続変異といいます。同じH3N2でも少しずつ抗原性が変わりうるので、年によってワクチン株を変えるのはそのためです。大変異と異なり、A型だけでなくB型インフルエンザウィルスでも起こります。

  6. 今冬のインフルエンザは?
      さて、今冬のインフルエンザはどんな種類のウィルスが流行しているのでしょうか?昨年の暮れからH3N2のAホンコン型が大流行していて、今年の2月からはB型も大分流行してきました。例年に比べて、早い時期から流行が始まっているのが特徴です。当初、専門家筋では大きな流行は予測していなかったのですが、昨年12月から低温が続いていることと、大きな流行が数年前であって、全般的に個人の抗体レベルが下がっていることでの大流行が起きていると思われます。

  7. インフルエンザにかからないために
    【一般的な予防】・十分な栄養・休養(睡眠)・保温・室内の加湿・人混みを避ける等
    【ワクチンの接種】インフルエンザワクチンの接種で、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめる事が期待されます。ワクチンで重症化を予防することがインフルエンザに対抗する最大の手段といえます。特に65歳以上の方や幼児、基礎疾患を有する方(心疾患、肺疾患、腎疾患など)は重症化しやすいので、早めに接種を受けて欲しいと思います。ワクチンの効果については、いろいろな意見がありますが、接種未接種で志望者数や重傷者数を比較したデータなどにより、有効性は確実とされます。実際、私の診療所で多くの子供たちにワクチン接種を実施しましたが、インフルエンザに罹らないとはいえませんが、重症化は防げているようです。

  8. インフルエンザにかかってしまったら
      突然の悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が出てきたら、インフルエンザの可能性が高くなります。早めに医療機関を受診して下さい。最近は、インフルエンザ迅速診断キットが普及してきましたので、鼻孔粘膜からの検体採取により15分程で診断が可能になりました。(ただ陽性率が7割ほどですが)
     さて、インフルエンザと診断されれば、次にはその治療薬ということです。まず、3年程前にアマンタジミン(商品名シンメトレル)というA型インフルエンザに有効な薬が出現しました。更に、A型B型両方の特効薬であるノイラミニターゼ阻害薬(商品名タミフル、リレンザ)が1、2年前から登場して話題になっています。これらにより、インフルエンザの治療は画期的進歩を遂げました。しかし、今シーズンはそれらの供給不足により、医療機関を始め、世の中では非常に混乱をきたしているという状況です。我々としては、一日でも早い改善を期待しているのですが…。

相模原東ロータリークラブ会長佐藤忠さんです。
ポリオ撲滅チャリティーゴルフ大会のお知らせに、いらっしゃいました。
4月7日月曜日相模原GCにて プレー費2万円、参加費5千円 40組を予定しているとの事です。