「来年4月からの中核都市について」
相模原市行政改革・中核都市担当部長 座間進 様
中核都市制度のご説明をする前に、その前段としての地方分権の意義と背景についてお話申し上げます。
最初に、今、なぜ「地方分権」を進めていくことが必要かにつきましては、個性豊かで活力に満ちた地域社会を創るためには、住民の創意工夫が活かせるよう、地方行政の充実が必要となっています。また、少子高齢社会の到来により、より幅広くの質の高い行政サービスの提供が求められています。更には、地球規模での環境問題、変動する国外問題に対応するためには、国は国内問題に対する負担を軽減し、国際社会の一員として、その能力に相応しい役割を担っていかなければなりません。
このような状況から、より一層の「地方分権」が叫ばれ、取り組みが行われてきました。
地方分権が進むことによって、自分たちの地域のことは自分たちで決定できるようになりますが、これまで以上に市民の皆様方の行政参加が求められてきます。このことは同時に、自分たちで決定した結果に対しては、行政も市民も責任を持たなければならないことになります。
次に、中核市制度の概要についてご説明致します。
【創設の経緯】
中核市制度が誕生した経緯についてお話いたしますと、地方分権の先導的役割を果たしている中核市制度は、昭和63年頃から各方面において議論され、平成5年4月には、内閣総理大臣の諮問機関である、第23次地方制度調査会の「広域連合及び中核都市に関する答申」において、「規模能力が比較的大きい都市について、その事務権限を強化すること等を目的に中核市制度を創設すべき」と答申されました。
こうして、指定都市以外の都市で規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにして、地域行政の充実に資するため、平成6年の地方自治法の改正(平成7年4月1日施行)によって中核市制度が創設されました。
【指定要件の変還】
また、中核市の指定を受けるためには、地方自治法上に要件が定められています。現在の指定要件は、制度創設当時からの要件が緩和され、A人口30万人以上、B人口50万未満の市にあっては、面積100平方km以上、となっていますが、これは、平成11年の分権一括法の改正時より、「昼夜間人口比率が100を超えること」が撤廃され、さらに、本年3月の改正により、人口が50万以上の市の面積要件が廃止されたことによります。
この改正により、人口61万人を擁する本市も中核市の指定要件を満たす「候補市」となり、平成15年4月の中核市移行に向けて、現在、準備を進めているところです。
本市においては、8月26日に小川市長が片山総務大臣に中核市指定の申出を行っており、11月頃に予定されている国の政令改正により、本市の中核市への移行が決定します。
【移譲事務の概要】
中核市に移行しますと、県から新たに約1,000件を超える事務・権限が移譲されることとなります。
具体的には、市民の日常生活に関係の深い民生(保健・福祉)、環境、都市計画など幅広い分野で、市民に身近な市役所で事務処理を行うことにより、これまで以上にきめ細やかな施策の展開が可能となります。
【中核市のメリット】
県からの移譲業務を行うことにより、市民生活に密着した事務を市が執行できるようになるため、事務処理の簡素化や市民ニーズに即したきめ細かなサービスの提供など、市民サービスの向上や市の特性を活かした個性豊かなまちづくりの推進のほか、指定都市に次ぐ都市制度上の位置付けがされることから、本市のイメージアップが図られるなどのメリットが考えられます。
中核市への移行を一つの契機として捉え、「ただ単に県が行っていたものを市が行う」ということだけでなく、市民サービスについて一つ一つ見直しを行い、市民から「中核市になって相模原市は良かった」と思っていただくこと、これが一番重要なことだと考えています。
【中核市移行の意味するもの】
中核市への移行は一般市から都市の格付けがランクアップされ、多様な都市機能の集積が図られることとなり、市全体の活性化や経済の振興につながるなどの波及効果が期待されます。
また、職員は、自己決定権の拡充に伴い資質の向上や政策形成能力の向上などの意識改革が求められることとなりますので、その自覚が必要となります。
中核市への移行を契機に、更なる市民サービスの向上と個性豊かなまちづくりの推進に向けた施策の展開を進めていくものとしております。
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