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相模原グリーンロータリークラブ 第481回例会週報 |
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480回 | 482回 | 2002-03週報目次 |
◆「人の弱さを担い、人とともに生きる」 清水酉雄 会員 |
<人の弱さを担い、人とともに生きる> 清水酉雄 会員 昔々山奥の村で老人をいけにえとし殺すと言う風習があったそうな。その村に老人は一人もいなくなりました。村で集会所を建てる事になり、沢山の丸太が集められました、ところが木の天地[元末]の見分けが出来る人がおりません。木の天地を逆さまに使用すると村に大きな災害をもたらすと言う言い伝えがありました。 村人は困惑いたしました、そこに一人の若者がもし老人を殺さないのなら木の天地を見分けられる人を連れてきましょうと申し出ました。村人は殺さないと約束しましたので若者はひそかにかくまっていた祖父を連れてまいりました。老人が村人に木の天地の見分け方を教え見事に集会所が完成されたそうな、これはインドネシアのバリ島に伝わる民話ですが昔から老人の持つ長い経験豊かな知識を人々があまり大事にしたとは言えません、お婆捨という伝説は信州のみならず日本には何カ所もあります。近くでは伊豆の大島に婆転がし爺流しという地名が残っているそうです、なぜ老人を高く評価してこなかったのでしょうか。 太平洋戦争が終わって政府は昭和二十七年[1952]に老人福祉の向上を掲げ国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに老人に対してみずからの生活の向上に努める意欲を促す目的で昭和四十一年[1966]九月十五日老人の日を改め敬老の日としこれが国民の祝日の制度化として今日に至っております。 ところが最近高齢者への虐待が問題となって居ります。今年七月読売新聞に掲載されておりましたが殴る、蹴る、部屋に閉じ込める、介護する人が痴呆の高齢者等に暴力をふるったり世話をせずに放置したり高齢者虐待が大きな問題になっています、家庭内の事で表に出にくいし周囲の人が気づいても直接注意しにくくやめさせるにはなかなか難しい事です。 虐待といっても様々で殴る、蹴るの[暴力]車椅子やベットに縛る[身体拘束]部屋に閉じ込める[監禁・隔離]言葉による暴力、世話をしない[介護放棄]金銭を脅し取ったりする[経済的虐待]虐待は地域の介護サービスが十分でなかったりして介護者のストレスが蓄積された時に起こりやすいそうです。虐待は家庭という密室の中で家族の間に起きるだけに外から確認が難しいのが特徴です。又虐待をする側が暴力を躾と考える等あまり自覚していない事が少なくない上高齢者も虐待される事を諦めている事もあります。 虐待には外部の人にも分かるサインがあります。事故とは考えにくい傷がいつもあったり、汚れた服を着て食事や飲物をとっていない様子が見受けられる等です、周囲で異常を感じるケースがあったら地域の介護担当者など専門家に相談する事が大切です。 【日本人の平均寿命について】 日本人の平均寿命の資料でわかっているのは明治二十四年[1891]からですが男女平均四十二才少々でありました。 太平洋戦争が終わった昭和二十年[1945]の男女平均寿命は四十九才少々でした人生五十年と申しましたが戦前戦中には五十才を超える事が出来なかったのです。明治二十四年から昭和二十年迄五十四年かかって平均寿命が七年しか延びて居りませんが戦争が終わってどんどん寿命が延びて、昭和二十年から五十年平成七年[1995]男性76.21才女性82.51才男女平均で79.36才五十年で三十才平均寿命延ばしたのです。 世界の歴史に例がないことを日本国民が実現させたのです。三十才も寿命を延ばすことが出来たのは色々理由が考えられます、戦後国民が獲得した豊かさのお陰であります。最低生活が保障されて餓死ということはなくなり栄養失調で倒れる人もいなくなり医学が進歩し抗生物質ができ感染症がなくなり、そこで大きな理由としては赤ちゃんの死亡率が減ったり、赤ちゃんが千人生まれますと165人も亡くなった時期がありました。現在アフリカで同じ数くらい亡くなっているそうです。 一番多い国では千人生まれて333人の赤ちゃんが亡くなっているそうです、アジアではバングラデシュ、ネパールが百名を超えております。インドが八十八名位、先進国アメリカはインドの丁度十分の一の九人を割っているそうです。 日本ではアメリカのさらに半分、乳児死亡率は世界で最低という輝かしい記録を作っております。 老齢人口が七パーセントから二倍の十四パーセントに延びるにのフランスでは百十年かかりました、スウェーデンは八十五年かかっておりますのに我が国ではわずか二十五年で倍増したのですスピードが速すぎて対応が間に合わない、これが今私どもの直面している問題です。健康問題でも今現在、寝たきり、痴呆、援護を要する方が二百万人もおられるそうです。これが二十五年後に五百二十万人と膨れあがっていくそうです。昭和三十八年この年に百才を超えた方は153人でしたが平成十四年九月十五日現在百才以上の方が17934人、その内の2430人が今年百才を迎えた方々です。昭和三十八年から今年三十九年目でなんと117倍に膨れあがって居ります。神奈川県はどうでしょう、昨年より138人増加して839名となり、初めて800人を超えました。県内最高齢者110才で全国で14位だそうです。相模原市内でも100才以上の方が35人おりまして最高齢者106才唯一男性の方だそうです。私も希望を持って頑張りたいと思います。 昨年、2001年8月、新聞やテレビニュース等で発表されましたが男性、女性ともスイス、アイルランドを抜いて世界一長寿国、日本になったのです、益々高齢化社会を迎えて難問を抱える事になるでしょう。 先週金曜日午後5時から8チャンネル スーパーニュースの中で放映されておりました。高齢者虐待の新地獄 無惨、肉親達の裏切り、老母をゴミ部屋に放置、汚物の山積み、悪臭充満、電気ジュウタンに5年置き去り低温火傷で無念の死、ベットや車椅子から落ちると骨折するので動けない様に縛り付け動けば動く程締る様に縛りそんな行為を特別養護老人ホームとか介護施設で行われているとか 便を祖相したりおむつを汚したりすると夜中に水のシャワーを浴びせたり大変残酷な放映でした。 最後に心温まる話ですが、特別養護老人ホームで長いこと寝たきりで寮母さんや指導員さんのお世話になった老人が亡くなる時に寮母さんにこういったそうです。 この次生まれ変わる時には世話をする人になりたい、これが長い間お世話になって亡くなった方が遺した言葉です。
人にかかわり、人の弱さを担い、人と共に生きる、そんな思いやりの輪が広がりますよう祈念して。
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◆イニシエーション・スピーチ「倫理の基盤」 関永光彦 会員 |
<倫理の基盤> 関永光彦会員 拉致事件で全国に名の知られた、5人の帰国者の一人、蓮池薫氏は新潟県柏崎市の出身です。私も同市出身で、中学時の英語の先生は同じでありました。あの問題は国家の倫理ということを浮き彫りにしました。旧約聖書の有名な言葉、「義は国を高くし、罪は民を辱しむ。」を思い起こしたのでありました。 今も会長のお話にありましたが、個人、企業の倫理を高めるということは、ロータリークラブの目標でありますが、その基準をどこにとったらよいのでしょうか。日本の政界、官界に腐敗が相次ぐ中で、「今日流行の汚職に共通の特徴は、責任者が誰も自らの行為を倫理的に「悪い」と考えていないことであろう。」と加藤周一氏は、先日の朝日新聞「夕陽妄語」の中で書いていましたが、第二次大戦後の日本の倫理が問われた問題でありました。官界といわず、政界も、経済界も、汚職や、商品名の産地偽装等、倫理にかかわる問題が我々の周囲には頻発しています。兆をもって数えられていて、未だに増えつづけている日本国の大損失、そのための回復には50年かかるとある政治家が言いましたが、例の不良債権問題も、倫理の問題がかなり懸っているのではないでしょうか。
日本は第二次世界大戦まで数百年間儒教の教えを倫理の基盤としてきました。とりわけ治世を担当してきた武士の世界ではそうでした。庶民もほぼそれに従ってきたのだと思います。儒教は中国の教えであります。孔子の論語から出たものです。韓国では、日本の社会よりはるかに強く儒教の影響があります。加藤氏は、中国、韓半島の二国、それに日本は共通の倫理基盤として儒教の教えを奉じたらどうかと、示唆しています。私の尊敬する、明治、大正、昭和にかけてのキリスト教伝道者、内村鑑三も次のように述べています。「支邦人「ママ」と日本人とをして唯彼らの有する孔子の訓戒を守らしめよ、然らばこれら二国よりして欧米の如何なるキリスト教国にも優る立派なキリスト教国が出来るのである。」と。
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