相模原グリーンロータリークラブ
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相模原グリーンロータリークラブ
第477回例会週報

476回 | 478回 | 2002-03週報目次
◆ゲストスピーカー「米山奨学事業の現状」
(財)米山記念奨学会 栗原洋子 様
<米山奨学事業の現状>
(財)米山記念奨学会 栗原洋子 様

2002年4月現在、米山奨学生の受入れは年間1,000名、累計奨学生受入数は10,854名となりました。この実績と歴史は、日本の民間奨学事業として最大の規模を誇るまでに成長しました。
 この種を蒔いてくれたのが、1952年、東京ロータリー・クラブの有志ロータリアンによるもので、日本にロータリーを導入し、東京クラブの初代会長である米山梅吉氏の功績を忍び、また、太平洋戦争後の日本において「平和国日本を示す」という目的をもって誕生したと言われています。
 その後、奨学事業が全国のロータリー・クラブの共同事業として展開し、1967年に文部科学省の許可を得て「財団法人ロータリー米山記念奨学会」となりました。また、1978年には特定公益増進法人の認可を得るなど、着々と社会的に認められる奨学財団となっています。
 この様な発展は、ロータリアンの皆様の米山奨学事業への深い理解とご支援に成り立って参りました。

もう一度考えよう"米山奨学事業"
 誕生から半世紀経過し、米山奨学事業も時代の流れと共にその目的や使命を確認すべき時がやってきました。というのは、11万5千人おられるロータリアン一人ひとりが、米山奨学事業の目的を独自に理解されているという実情が見えてきたからです。ある方は、米山奨学事業は救済的な支援であると考え、・・ならば月額15万円や月額12万円という奨学金は高すぎる、という意見があり、また、フルブライト奨学生のように優秀な留学生への支援であればもっと高額にしてはどうか、という意見もいただきました。
 このように認識と期待のズレが大きくなったため、1999年8月に「もう一度考えよう"米山奨学事業"」と称し「米山奨学事業基礎調査」を実施し、米山奨学事業の目的と使命を再確認することに着手しました。ロータリアンや大学担当者を対象としたアンケート調査(以下「基礎調査」と表す)を実施し、理事・評議員を対象とした「フォーラム」、「セミナー」の開催などにより多くのロータリアンの意見を聴取し、3年の歳月を経て検証されました。そして、あらためて目的と使命が確認されることとなりました。それは、米山奨学事業の目的と使命は、「ロータリーの理想とする国際理解と相互理解に努め、国際親善と交流を深めるために優秀な留学生を支援し、国際平和の創造と維持に貢献すること」です。これらを基盤に、求められる優秀性とは何か、奨学生に期待されるものは何か、という基本方針が明確に示されることとなりました。

求められる「優秀性」
基礎調査では「米山奨学生選考の優先基準」についてロータリアンがどのようにとらえているかを質問しました。そこでは「学業」以外の優秀性-つまり「国際交流、奉仕活動、人間関係、親善交流」など多様な面での優秀性に多くの支持がみられました。これは、ロータリーらしさの表れとも言えるでしょう。(グラフ参照)。また、困窮度という点では低い数値が認められるとおり、ロータリアンの傾向として米山奨学生に対して救貧型支援よりも優秀性支援に向いていることが確認できました。こうして、大学院生月額15万・学部生12万円の奨学金の維持が合意されています。

採用者の国籍割合
さて、米山奨学生の国籍割合については、様々な議論があります。米山奨学会の目安として1カ国が過半数を超えないことを掲げていますが、現実には1カ国30%以内に納めたい・・・という意見もあります。一方、個人の優秀性を勘案し1カ国が過半数を超えることもやむを得ないという意見もあります。在日留学生数が7万人を超え、そのうちの55.8%が中国籍留学生という実情を含め、今後は米山奨学生の国籍割合と優秀な学生の採用との折り合いを、どの辺りに置くかが課題となっています。

相模原グリーンロータリー・クラブにみる深い米山理解
 現在、相模原グリーン・ロータリークラブは、米山奨学会へのご寄付において2780地区内で上位にランクされています。上位に位置するクラブの傾向を見ると、奨学生受け入れ数8名〜10名、設立が1951年あるいは1960年代、1970年代設立など、その歴史の深さが共通点としてあげられます。そのような上位に位置する中で、相模原グリーンロータリー・クラブは、奨学生受け入れ数2名、創立11年目という点が特徴です。これは、2名の奨学生との関係がカウンセラーをはじめ、会長、クラブ米山奨学委員など他ロータリアンとの交流の輪がいかに理想的であったかが伺えるところです。また、世話クラブとして米山奨学事業への理解の深さを感じる点でもあります。また、世話クラブや米山カウンセラーとしての新しいご意見やアドバイスをいただければありがたいです。

 今後も、米山奨学事業が今以上にロータリアンに望まれ、支援しがいのある奨学事業として展開することを念頭に置きたいとスタッフ一同感じております。今後ともよろしくお願いいたします。