相模原グリーンロータリークラブ
↑ トップページへ ↑

相模原グリーンロータリークラブ
第464回例会週報

463回 | 465回 | 2001-02週報目次
◆ゲストスピーカー「総合的な学習の時間で学ぶもの」
富士見子供センター 臼井百合子館長
皆様、こんにちは。ただ今、ご紹介をいただきました富士見子どもセンター館長の臼井でございます。
この度は、当センターに岡本ヒロシ画伯の「木馬のシンフォニー」をご寄贈頂きまして、誠に有難うございました。おかげ様で念願の相模原市が生んだ画家の絵が子どもたちの目に触れさせることが出来ることを大変喜んでいます。そのことは、相模原にも「すごい人がいるなァ」「あんな絵を描いてみたいなァ」と子どもたちが夢をもって欲しいと願っているからです。
 当センターには、子どもたちをはじめ、子育て中の若いお母さんや、地域の高齢者の方々等、多数の皆さんのご利用があります。この絵はきっと来館者の皆様の目に留まり、それぞれの人に豊かな思いをもたらし、当センターにも独特の風格をもたらしてくれるものと確信しています。本当に有難うございました。

 さて、教育改革がスタートしました。
 ○完全学校週五日制に伴う指導内容の厳選
 ○総合的な学習の時間の創設
 ○目標に準拠した評価(絶対評価)
 ○学校・家庭・地域の連携強化
 ○学校評議員制度
等、現時点での切実な課題が提示されています。
 きょうは、その中の「総合的な学習の時間」についてお話したいと思います。

 まず、子どもをとりまく社会状況ですが、まさに豊かさと便利さの真っ只中だと思います。

 これまでは、この豊かさと便利さを獲得するために、邁進してきました。学校も社会の要望に応えるかのように、偏差値教育がエスカレートし、知育偏重の教育となりました。その結果、世界有数の経済大国に発展し、豊かさと便利さの恩恵に預りましたが、この現象は手放しで喜べないのです。

 家庭をみても本当の生活が無くなってしまったように思います。本当の生活とは、衣食住がしっかり出来て、生活のリズムが規則正しく動いていることだと思います。その中でも比重が高いのは、食だと思います。「おいしいものを」「よりバラエティーに富んだ食卓に」「もっと楽しいものに」などと工夫したり、考えたり、情報を集めたりして作るのですが、便利で豊かな生活の背景には子どもが感じたり、考えたり、工夫したりする機会が無くなっているのです。だから、いざという時、本当に考えて行動しなければならない時、判断しなければならない時に判断できない子が育ってきているのです。

 最近の若者の社会問題を見ても非常に幼稚化して自己中心的に行動し、短絡的になっています。これも、豊かさが生んだものだと思います。

 子どもたちは、知的好奇心や探究心が少なくなり、学ぶという面白さにも出会う機会が少なくなっています。今までの教育課題と現在の教育課題にズレが生じてきていることから、文部科学省の出した「ゆとりの中で生きる力」を培う、「学校週五日制」と「総合的な学習の時間」の創設は、学力低下等の課題は持っているもののタイムリーだったと思います。

 総合的学習は、子どもの主体的な問題意識(興味・関心)を学校や地域という生活の場で、今日の社会的な諸問題(国際理解・情報科学・環境・福祉・健康等)に立ち向かっていくわけですが、変化の激しい先行き不透明な社会にあって子どもの力で解決していくことは困難です。したがって、問題を解決する態度を育てることが大切です。そのためには、知識・技能・学び方の方法ができていなければ課題解決はできません。その力を教科等の学習で身につけなければならないのです。それが、基礎基本の徹底なのです。

 たとえば、国語の力(中でもコミュニケーション能力)がなければ、調べ学習やフィールド学習は難しいのです。インタビュー、調べる、話し合う、報告書作成、発表等と国語の力そのものが試されるのです。算数や数学の力がなければ環境調査等のデータをインターネットで収集しても、その数字の意味するものを読み取れない。数式がわからないでは、データを情報化できません。また、教科の学習が、単に受験のためにあるのではなく、生きていくために大事な学問であることを知り、何のために学ぶかを実感するのです。学習と生活が結びつくことによって、教科の学習も活性化されるのです。総合的な学習と教科はまさに、車で言う両輪なのです。

 また、総合学習では、問題解決的な学習と体験学習を重視し、たとえば、問題解決を図っても予定どおりいかず失敗し、挫折することもあります。その時、そこからどう立ち直るか。なぜ、予想どおりいかなかったのか原因を探り、新たな計画をたて、チャレンジしていくのです。そこには心の耐性も生まれ、生き方もあらわれてくるのです。教科だけでは得ることができない「生きる力」が育成されるのです。

   ここで、陽光台小学校の総合学習で、地域が子どもの学習を受け入れお互いに学びあい豊かな人間関係生まれた学習を紹介したいと思います。

○陽光台小学校の総合学習の取り組み
 地域の特色を生かしたテーマ
 「地域と共に健やかに育つ子どもの育成」
 ・豊かな感性を磨き、よく考え、生き生きと表現する子をめざして
 地域の特色
 ・相模原陽光園・相模原保育園・アリス工房
 ・ひまわり作業所・コスモスセンター
 ・光が丘社会福祉協議会
 日常のとりくみ(学校・家庭)
 ・挨拶運動・ボランテアタイム
 ・縦割り清掃(1〜6年)・一人一鉢運動
 ・道徳教育の充実・読書タイム
 ・一日参観日(地域・保護者)
 ・地域と結ぶホットライン
 「地域の名人探し」3年生
 1.地域にはどんな人が住んでいるんだろう。
 2.地域の人はどんな過ごし方をしているのだろう。
 ・おうちのひとに(おじいちゃんやおばあちゃん両親・兄弟)に聞いてみよう。
 ・近所の人にも聞いてみよう
   「いろいろな人が住んでいるんだなァ」
 30数人の名人がいたことを知る。
 ・透かし絵・陶芸・押し絵・絵手紙・手芸
 ・三味線・民謡・日本舞踊・茶道・オペラ
 ・魚拓・園芸・手品・囲碁・ぺタンク
 ・ゲイトボール・折り紙等

 ・名人の話を聞こう(すかし絵・陶芸)
  名人は「誰でもやらないことに挑戦している。すごい。ぼくもやりたいな。」
 ・教えてもらおう(課題別)何度か訪問する。
  電話でアポとる。
  ・訪問する時は
  ・話の仕方は
  ・話の聞き方は
 ・学んだことをみんなにも知らせよう
 (友達・先生・家族の人)
 ・教えてくれた人にお手紙を書こう。
 (相互のコミニケーション)

《学んだこと》
 ア.地域にはいろいろすごい人が住んでいるな。
 イ.名人はやっぱり工夫したり、努力してがんばっているな。ぼくも名人みたいになりたいな。
 ウ.調子にのって叱られたこともあったけど、ぼくは、陽光台が好きだ。
 エ.コスモスセンターもまた訪ねよう。ぼくの出来ることをやってみよう。

 総合的な学習をしたことによって、子どもたちは地域がわかり、自然や人とのふれあいが出来、地域との関わりをもてたことで、地域の良さを認識でき、地域を愛する心が育ったと言えます。また、地域が温かく受け入れたことが、学習の成功につながったと思います。

 総合的な学習は、まさに、子どもたちが自分で課題を見つけ、考え、判断し、問題を解決していくわけですが、地域には具体的な事実や事物が満ち満ちています。総合学習が求めている人間同士、自然と人間、日本人と外国人等と「共にどう生きるか」など地域を学習の場として、地域と豊かに関わって生きる力を育んで欲しいと願っています。

 学校では学校の学びがあり、地域には学校で学んだ学習を総合化した総合的な学びがあります。

 これは、お願いなのですが、時代を担う子どもたちであるということを再認識していただき、地域で社会的・文化的風土を作り、子どもたちの学ぶ場所として門とを広げていただければ幸いです。


★岡本ヒロシ画伯(相模原市橋本在住)「木馬のシンフォニー」を贈呈



★誕生日お祝い他

●結婚記念日
 星野、平井、守屋会員

●お誕生日
 奥村、尾畑会員

●皆出席
 浮田会員