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相模原グリーンロータリークラブ 第506回例会週報 |
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507回 | 509回 | 2002-03週報目次 |
◆老化のナゾを解くための基礎知識
尾畑 仁貴 会員 |
人間はだれでも老化し、やがて死ぬ 〜老化とは何だろう?〜 老化という言葉を、私たちは日常よく使っている。年をとると、皮膚にはシワやシミが目立ち、髪の毛は白くなり、抜け毛が増える。近くのものが見えにくくなり、耳も遠くなるし、関節は摩耗し、骨はスカスカになってもろくなる。物忘れがひどくなり、人の名前が思い出せなくなる。老化とは、このような現象のことである。 しかし老化をきちんと定義するのは、それほど簡単ではない。 老年学の学者ストレーラーは、老化現象に共通する特徴として、有害性・普遍性・漸進性・不可逆性・内因性の5つをあげている。 有害性とは、体に何の利益ももたらさず、害を及ぼす変化のことで、先にあげた現象は、確かにみな体にとって有害で不都合なことばかりである。 普遍性とは、限られた人にではなくあらゆる人に共通して起こる変化を意味する。金持ちも美人も普通の人と区別なく老化する。 漸進性とは、ゆっくりと起こる変化を指す。浦島太郎のように一瞬にして白髪になったとしたら、それは老化とはよべない。 不可逆性とは、症状が進むばかりで元には戻せないことである。 内因性とは、外部からもたらされるけがや病原菌の感染などとはちがい、体の内部に原因があることを意味する。 これらに加えて、老化の先には死が待っていることを忘れてはならない。老化と死の間には、深いつながりがある。 また、年をとるとかかりやすい病気(老年病)がたくさんある。ほとんどの人が死ぬのは病気が原因で、老衰で死ぬことはめったにない。老化と老年の間にもまた、深いつながりがある。 人類老化のメカニズム 1.生体内の活性酸素による傷が老化を引き起こす。 2.個体の寿命を支配する遺伝子による(DNAヘリ カーゼが1つ) 3.コラーゲンと老化の深い関係 4.いろいろな器官の老化とその対策 (目・耳・歯・皮膚・毛髪・骨(カルシウム)・ 関節・筋肉・血管・心臓・肺・腎臓・免疫機能・ 性機能) 5.老化を早めないライフスタイル 1)長寿のための3か条 食事・運動・ストレス 2)食事の量と老化 3)食事の質と老化 たんぱく質・ビタミン・コラーゲン・カルシウム 発酵乳食品…良い腸内細菌を増やす 野菜(ビタミン・ベーターカロチン)…コレステロール吸収抑制 抗酸化食品(赤ワイン・お茶・ココア・にんにく・ゴマ・大豆)…血圧・糖尿をおさえる動脈硬化予防 4)運動と老化 5)ストレスと老化 日本の平均寿命 〜21世紀はどうなる〜 それでは、日本人の平均寿命はこの先どうなっていくのだろうか。 厚生労働省の人口問題研究所の予測では、2025年の平均寿命は、女性85.06歳、男性78.27歳で、今より少しのびるとしている。アメリカの民間の人口研究所マウンテンビュー・リサーチ社が2000年に発表した予測によると、2050年の日本人の平均寿命は90.91歳という。いま以上に長寿になることになる。めでたいのだけれども、勤労者5人で4人のお年寄りを養う計算になるので、負担は大変大きい。 一方では、ちがった見方もある。いまの若い人が年をとっても、いまの老人のように長生きできないというのである。まず、肉を食べすぎるし、外食が多いせいで濃い味付けの食事に偏っている。さらに朝食を抜いて夜中に食事をするなど、食生活が乱れている。また、車社会のため一般に運動不足である。昔は中年以降の人にしか見られなかった高血圧、糖尿病、動脈硬化などの病気が若い人の間にふえている。 一方、いまの老人たちは、感染症の危険率の高い時代を生き延び、かつ戦中・戦後の時代変化と混乱をくぐり抜けてきた「つわもの」ぞろいである。この両者をくらべると、若い人たちの寿命はのびるどころか後退するのではないか、という悲観的な予想になるという。 果たして、日本人の平均寿命はもっとのびるのか、それとも後退してしまうのか私にはわからない。何か人類の歴史はじまって以来の壮大な実験を見ているような気がする。もっとも、結論が出るときには私は生きてはいないと思うが。 |