<健康シリーズ> 永井完侍会員
【花粉症対策・治療のポイント】
スギ花粉症の時期はそろそろ終盤ですが、毎年繰り返し悩まされるものですから、来年に向けて対策と治療のポイントをあげてみます。
1.スギ花粉の飛散量は前年の夏の平均気温と相関があるといわれます。真夏日が長く続けば花粉は多くなり、冷夏であれば少なくなります。さて、来年は?
2.医師として、花粉症の治療で推奨したいのは、花粉が飛散する数週間前からの抗アレルギー薬の内服です。それは、重症の人であればあるほど、ある一定の花粉量が飛び始める前から、すでに体の中でアレルギー反応が形作られてしまっているからです。その反応を弱めてくれるのが、この薬なのです。副作用もずっと少ないのが、特徴です。
3.よく晴れて風の強い日はとくに花粉の飛ぶ量が多いので、外出する際にはマスク等の防御が必要になります。また、帰宅後には鼻、目のうがいも有効です。
4.一旦症状がでてしまったら、抗ヒスタミン剤の内服と局所療法が主体になります。ただ、抗ヒスタミン剤には、眠気や口の乾きといった副作用があります。
5.ステロイドホルモンの内服や注射(主として筋肉注射)は、花粉症の症状をよく抑えてくれますが、「両刃の剣」と心得てください。それだけ、副作用には注意が必要なのです。主なものには、糖尿病の悪化、骨粗しょう症、緑内障等です。
6.スギ花粉の時期が過ぎても、症状が続く場合はヒノキやイネ科の草の花粉症の可能性もありますので、医師に相談して検査してみるのもいいでしょう。
【インフルエンザについて】
今年は、暖冬だったこと、昨年のインフルエンザの流行が遅かったこと、ここ数年同じような型が繰り返し流行していて、抵抗力のある人たちが多くいること、ワクチン注射を打つ人が増えてきたこと(昨年10月より65歳以上のワクチンの公費負担が始まった)などから
あまりインフルエンザは流行らないのではないかという予想をたてていました。
しかし、実際には中規模の流行があり、1月末から3月半ばまで3種類のウイルスが流行りました。
インフルエンザウイルスには、大きく,A,B,Cの3種類があります。中でも、A型が大規模に流行します。ウイルスは、表面に出ているトゲのようなタンパク質、H蛋白、N蛋白の抗原性で型が分けられます。ここ数年は、Aソ連型とA香港型の2型が繰り返して流行しています。
しかし、インフルエンザウイルスは毎年少しずつ変化する(連続変異)ことが特徴で、そのために毎年罹ってしまうこともあるわけです。
インフルエンザの診断には、最近迅速キットが出てきましたので、10分から20分で診断が出来るようになりました。
昨年から新しいインフルエンザ薬が発売になり、有効率も高く、早く治るようになりました。
とはいっても、やはり予防の主体はワクチンだと思います。特に小さな子供や、老人は是非とも毎年打って欲しいところです。
【相模原市の小児科救急について】
昨年の6月から、相模原市では休日夜間の小児科救急事業をスタートしました。これは、主にウエルネスさがみはらのメヂカルセンターを中心に、休日夜間、小児科医が常に当番として急病の子供の診療をするもので、日本全国でも画期的な事業となりました。
それまでは、急病診療は大きく、内科・小児科系と外科系の2つに分けられ、内科・小児科系では内科医、小児科医が区別なく輪番制で診療に当たっていました。しかも、時間は夜11時まででした。子供の割合が圧倒的に多い急病診療では、小児科医であって欲しいという要望が非常に高まってきました。特に、相模原市では子供の人口は増加してきて、この要望は益々高まる一方でした。
そこで、相模原市医師会では市の要請を受け、北里大学病院や市内の何箇所かの病院と連携してこの事業を作り上げました。
その結果、相模原市の小さな子供を持つ母親たちは、子供が急病になっても安心して受診することができるようになりました。我々医師会の小児科医としても、負担は結構大変ですが頑張ってこの事業を続けていこうと考えています。
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