ロータリー創設から確立までの背景!

<如何に捉えるか?>

1922年巻末資料

<1923年>

 1923年-(大正12)- 第14回セントルイス国際大会で社会奉仕の基準として"決議 23-34 号"が採択!これによりロータリーは成年に達した!
 1,243RCに増加、ウィル・R・メーニアー・ジュニアが決議委員長であった。
 この大会でワレンG.ハーディング米大統領が演説し、話題になる。
→「仮に私の力で世界中のあらゆる津々浦々にロータリーを広めることが出来るとしたら、私は躊躇なくそうするだろう。それが出来たら、私は世界の前進を保証するだろう。」
 大会プログラムは二つのテーマを中心として編成されていた。6,779人参加。
 詩人エドガー・ゲストを含む7人の講演者は青少年奉仕の種々異なった面について講演を行った。
 また6人の講演者はビジネスの方法について述べたが、その中の一人、後に1931/32年度RI会長になったロンドンのシドニー・W・パスカルは雇用主と使用人との関係に関する優れた見解を述べた。
 二つのテーマ、即ち青少年奉仕とビジネスの方法とは「いろいろな国際委員会の密接な協力によってプログラムを樹立する」という決議第一号の修正案が採択されたので一つにまとめられた。
→ 『1924年の国際ロータリー大会のプログラムは模範的慣行である道徳律の全面的採用、雇用関係の改善、それらを将来担うであろう青少年の育成という輪郭にそって設定されることを求める。青少年奉仕の目的はより良きシティズンシップの醸成である。』
  またこの大会では36の制定案が議せられた。その代表的なものは、青少年奉仕に関する方針、人頭負担金の増額、米国における遵法強化に同調する件、出獄者更正に関する件、未成年者裁判所に協力する件、および身体障害児童協会に関する方針等であった。(翌年のシカゴの若者、リオポルド&ローブによる殺人事件は、ローブの父親がシアーズ社副社長でもあり、注目を集めた)
 この頃からロータリーの遺伝子の中に、「結局、"良くやった"ことは"良く言った"ことに勝る!」(ベンジャミン・フランクリン)という考えが根付く?
 ポール・ハリスはラシーヌでの自身の記念碑式典参加を感謝すれど辞退する。
 作家、シンクレア・ルイスが小説「バビット」の中でロータリー批判。
 9月、関東大震災に対し、ガイ・ガンディカー新RI.会長が即応し、各国計503に及ぶRC.から総額八万九千$もの多額の見舞い金が送付された。
 東京RCは良識を持ってこれらの義損金を分配した。入院患者たちのために、市内の各病院に、東京横浜の小中学校に、東京孤児院の構内に家を失った孤児のための二階建ての「ロータリーホーム」を建設するために!
 
 独マルクが急ピッチで暴落!対ドルレートが1月に7260マルク、8月には110万マルク超、11月15日には、ついに4兆2000億マルク。公定歩合は9月に90%となる。さらに仏・ベルギー軍が、賠償金のかたに独工業の心臓部であるルール地方を「生産的担保」として占領する。→ 独景気はどん底!
 モンタナ・ネバダ両州で全米初の老齢年金が支給さる(70才以上、月25$)。
 NY.のヤンキー・スタジアムが完成、ヤンキース黄金期とともに歩む!
 米農務省発表、黒人が南部の農業地帯から北部の都市に大量に移住しており、ジョージア州からは、1年で農業労働者の13%が流出する。
 シチリアのエトナ火山が大爆発、6条の溶岩流でカスティリオーネ地方壊滅。
 2億円以上の金持ちが世界に12人とされる、日本人は三井、岩崎両家。
 連合国とトルコがローザンヌ平和条約締結、引き続き、トルコは共和国宣言!
 NY.のコスモポリタン劇場で初めてのネオンサインの広告登場。
 8/2、ワレンG.ハーディング米大統領が急死する、共和党で副大統領の「もの言わぬ男」カルビン・クーリッジが第30代の新大統領に就任する。
 シカゴの遊覧船専属バンドに、14才の少年クラリネット奏者、ベニーグッドマンが雇われてプロ・ミュージシャンの第一歩を踏み出す。
 スペインでクーデター、プリモ・デ・リベラ将軍がバルセロナを占領の後に、マドリッドに入り、軍事独裁宣言、全権を掌握する。
 英がパレスチナの国際連盟信託委任統治を開始する。ベルリンで暴動が発生。
 11/23発行の米婦人雑誌「ピクトリアル・レビュー」誌が、未婚の若い女性の職場進出を報じる、全米で854万9511人とする。ネパール・英修好条約。
 この年、全米の乗用車総数が1500万台に達する、更に増加傾向!
 5月にヘンリー・キッシンジャーが生まれる。東京の新名所、東洋一のオフイスビル「丸ビル」誕生、総工費1100万円余、同ビル、4Fの山野千枝子の美容院も大繁盛(ワンカール2円)、なお賃料は坪12円30銭だった(1982年では坪3万7900円)。
 "9月1日、関東大震災!"
 大混乱、朝鮮人虐殺・甘粕事件・朴烈事件、亀戸事件等続発、流言飛語が飛び交う、虐殺された朝鮮人は6千人以上!京浜地方に戒厳令。死者9万9331人、行方不明4万3476人、家屋全壊12万8266戸、半壊12万6233戸、焼失44万7128戸に達した。東京の7割、横浜の6割の家屋が焼失した。
 初震に加えて同日だけで114回の余震あり!米、英、仏、中国、伊、独、メキシコ、チリ等41ヵ国から救援物資、1180万円に達する!米援助は突出!

 ※ 決議 23-34
 [綱領に基づく諸活動に関するロータリーの方針]
 国際ロータリー並びにロータリークラブの未来の指針として綱領に基づく諸活動に関するロータリーの方針を明確に表わすものとして改めて是認する件。
 RI第14回国際大会が召集され、次のことがRIによって決定された。
 即ち、以下に掲げる諸原則は、ロータリークラブ及びロータリアンの指針として、また、綱領に基づく諸活動に関するロータリーの方針を明確に表わすものとして適切であり、また管理に役立つものであることを認め、これを採用するものである。
  1. ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。
     この哲学は奉仕ー 「超我の奉仕」ーの哲学であり、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」という実践理論の原則に基づくものである。

  2. 本来ロータリークラブは、秘密の誓約とか教理信条といったものは一切無く、それぞれのロータリアンが独自の方法で、事業人及び専門職業人の代表として、ロータリーの奉仕の哲学を受入れ、次の四つのことを実行することを目指している人々の集りである
    • 先ず第一に、奉仕の理論が職業及び人生における成功と幸福の真の基礎であるこをクラブとして学ぶこと
    • 第二に、自分たちの間においても、また地域社会に対しても、その実際例をクラブで示すこと
    • 第三に、各人が個人としてこの理論をそれぞれの職業及び日常生活において実践に移すこと
    • そして第四は、個人として、またクラブとしても大いにこの教えを説き、その実例を示すことによって、ロータリアンだけでなく、ロータリアン以外の人々のすべてが、理論的にも実践的にも、これを受入れるように励ますこと。

  3. 国際ロータリーは次の目的のために存在する団体である。
    (1) ロータリーの奉仕の理想の擁護、育成および全世界への普及。
    (2) ロータリークラブの設立、激励、援助および運営の管理。
    (3) 一種の情報交換所として、各クラブの問題を研究し、また強制でなく有益な助言を与えることによって各クラブの運営方法の標準化を図り、綱領に基づく諸活動についても、既に広く多くのクラブによってその価値が実証されており、国際ロータリーの定款に掲げられているロータリーの綱領の趣旨にかない、これを乱す恐れのない綱領に基づく諸活動のみによって、その標準化を図ること。
  4. 奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことを言うのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。
      そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。

  5. 各ロータリークラブはクラブとして関心があり、またその地域社会に適した綱領に基づく諸活動を自主的に選ぶことについては絶対的な権利をもっている。
     しかし、いかなるクラブも、ロータリーの綱領を無視したり、ロータリークラブ結成の本来の目的を危うくすることのない綱領に基づく諸活動を行うべきである。
     そして国際ロータリーは、一般的な奉仕活動を研究し、標準化し推進し、これに関する有益な示唆を与えることはあっても、しかし、どんなクラブのいかなる綱領に基づく諸活動も、それを命じたり禁じたりすることは絶対にしてはならないものとする。

  6. 個々のロータリークラブの綱領に基づく諸活動の選択を律する規定は別に設けられていないが、これに関する指針として以下の準則が推奨されている。

    (1) ロータリーの会員の数には限りがあるので、ロータリークラブは、市民全体の積極的な支持なくしては成功し得ないような広範囲の市民としてふさわしい奉仕活動は、ほかに地域社会全体のために発言し、行動する適切な市民団体などの存在しない土地の場合に限り、これを行うこととすべきであり、商工会議所のある土地では、ロータリークラブはその仕事の邪魔をしたり、横取りをしたりすることのないようにしなければならない。
     しかし、ロータリアンとしては、奉仕を誓い、その理念の教えを受けた個人として、その土地の商工会議所の会員となって活躍すべきであり、またその土地の市民として、他の善良な市民と一緒に広くすべての市民としてふさわしい事業に関与し、その能力の許す限り、金銭や仕事のうえでその分を果たすべきである。

    (2) 一般的に言って、ロータリークラブは、どんな立派な事業であっても、クラブがその遂行に対する責任の全部または一部を負う用意と意思のない限り、その後援をしてはならない。

    (3) ロータリークラブが奉仕活動を選ぶ場合に、その奉仕を行うことによって宣伝しようとか名声を得ようとおを求めるのではなく、ただ奉仕する機会を求めるべきである。

    (4) ロータリークラブは、仕事の重複を避けるようにする必要があり、総じて、他に機関があり、それによって既に立派に行われている事業に乗り出すようなことをしてはならない。

    (5) ロータリークラブの奉仕活動は、なるべく現存の機関に協力する形で行うことが望ましいが、現存機関の設備や能力が目的の遂行に不十分である場合には、必要に応じ、新たに機関を設けることにしても差し支えない。ロータリークラブとしては、新たに重複した機関をつくるよりも、現存の機関を活用することのほうが望ましい。

    (6) ロータリークラブはそのすべての活動において、宣伝者として優れた働きをし、多大の成功を収めている。ロータリークラブは地域社会に存在する問題を見つけ出すことはしても、それがその地域社会全体の責任にかかわるものである場合には、単独でそれに手を下すようなことはしないで、他の人々にその解決の必要を悟らせる努力をし、地域社会全体にその責任を自覚させて、この仕事がロータリーだけの責任にならないで、本来その責任のある地域社会全体の仕事になるようにしている。また、ロータリーは、事業を始めたり、指導したりするが、一方、当然それに関心をもっていると考えられる他のすべての団体の協力を得るよう努力すべきであり、そして、当然ロータリークラブに帰すべき功績であっても、それに対する
      自分のほうの力を最小限度に評価して、そのすべてを協力者の手柄にするようにしなければならない。

    (7) クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広くすべてのロータリアンが個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神によりかなっているといえる。それは、ロータリークラブでの綱領に基づく諸活動は、ロータリークラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられた、いわば研究室の実験としてのみこれを見るべきであるからである。

 セントルイス大会で決議された最初の[決議 23-34]は、その後幾つかの項目について部分的に改正され、そのタイトルも [社会奉仕に関するロータリーの方針]と改正されて、現在の形になっています。

◎デンバー大会[決議26-6]による改正
 セントルイス大会は決議 23-34 を可決した。この決議は社会奉仕活動に関係あるロータリークラブの意図と本来の働きについての最も完全な声明であるが故に、現在の言葉づかいでは決議 23-34 中の Objective activities[綱領に基づく諸活動]が上記の社会奉仕活動に相当するが故に、ロータリーの意図するものは綱領が非常に正しく遵守されるべきだという考えである。
 従って、 Objective activities と、Objects of Rotary の用語を使用する場合にどちらでもよいのではないかと、考えが混同するかもしれないが故に、従って、第17回大会が開催され、RIは決議 23-34 の主題内容を一層明確に定義づけるために、用語より一部変更を行うことを決定した。 

(1) この決議に[社会奉仕に関するロータリーの方針] The Policy of Rotary toward Community Service Activities という題をつける。

(2) 第一節を次のように改める。
  ロータリーの綱領の第3は、ロータリアンのすべてがその個人生活、職業生活、および社会生活に奉仕の理想を適用することを鼓吹、育成するにある。このロータリーの綱領を実行するについては、さまざまな社会奉仕活動を進めてきている。
 以下に掲げる諸原則は、ロータリアンおよびロータリークラブの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表すものとして適切であり、また管理に役立つものであることを認め、これを採用するものである。
 
(3)第五節の but must translate itself into objective activity の中のobjective activity 以外の、その他の語句 objective activity はcommunity service activity に改める。

(4) objective activities はcommunity service activities に改める。

(5) civic activity と civic enterprise は community service activities に改める。

◎アトランティック・シティ大会[決議 36-15]による改正
 第14回国際大会で決定した決議 23-34 の4を以下の通りに修正する。 
4.奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことを言うのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。
  そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。そこで、ロータリークラブの団体的行動は禁じられている訳ではないが次のような条件の下に行うよう勧められている。
  いずれのロータリークラブも、何か社会奉仕活動を持ち、クラブ全員の一致した協力を必要とし、さらにクラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためのプログラムでなければならない。

◎アトランティック・シティ大会[決議51-9]による改正
 文中の the objects of Rotary を the object of Rotary に改正。

◎トロント大会[決議 64-43]による改正
  第14回国際大会で決定した決議 23-34 の4を以下の通り修正する。 
4.奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことを言うのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。
  そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。そこで、ロータリークラブの団体的行動は次のような条件の下に行うよう勧められている。
 いずれのロータリークラブも、毎年度、何か一つの主だった社会奉仕活動を、それもなるべく毎年度異なっていて、できればその年度内に完了できるようなものを、後援するようにすることが望ましい。この奉仕活動は、地域社会が本当に必要としているものに基づいたものであり、かつ、クラブ全員の一致した協力を必要とするものでなければならない。これは、クラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためにクラブが継続的に実施しているプログラムとは別に行われるべきものとする。
◎トロント大会[決議 66-49]による改正
  第14回国際大会で決定した決議 23-34 の6を以下の通り修正する。 
6(3) ロータリークラブが奉仕活動を選ぶ場合には、奉仕活動についての宣伝とか、または、何らかの見返りを望むものではなく、ただ奉仕をする機会を求めるべきである。


 以下、現行の[決議 23-34]の全文を紹介します。
  
 "決議 23-34"

 ロータリーにおいて社会奉仕とは、ロータリアンのすべてがその個人生活、事業生活、および社会生活に奉仕の理想を適用することを奨励、育成することである。この奉仕の理想の適用を実行することについては、多くのクラブが会員による奉仕にその機会を与えるものとして、さまざまな社会奉仕活動を進めてきている。
 以下に掲げる諸原則は、ロータリアンおよびロータリークラブの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表すものとして適切であることを認め、これを採用するものである。
  1. ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕ー「超我の奉仕」ーの哲学であり、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」という実践理論の原理に基づくものである。

  2. 本来ロータリークラブは、事業および専門職務に携わる人の代表として、ロータリーの奉仕の哲学を受入れ、次のことを実行することを目指している人々の集りである。
    (1) 奉仕の理論が職業および人生における成功と幸福の真の基礎であることを団体で学ぶこと。
    (2) 自分たちのあいだにおいても、また地域社会に対しても、その実際例を団体で示すこと。
    (3) 各人が個人としてこの理論をそれぞれの職業および日常生活において実践に移すこと。
    (4) 個人として、また団体としても大いにこの教えを説き、その実例を示すことによって、ロータリアンだけでなく、ロータリアン以外の人々すべてが、理論的にも実践的にも、これを受入れるように励ますこと。
  3. 国際ロータリーは次の目的のために存在する団体である。
    (1)ロータリーの奉仕の理想の擁護、育成および全世界への普及。
    (2) ロータリークラブの設立、激励、援助および運営の管理。
    (3) 一種の情報交換所として、各クラブの問題を研究し、また強制でなく有益な助言を与えることによって各クラブの運営方法の標準化を図り、社会奉仕活動についても、既に広く多くのクラブによってその価値が実証されており、国際ロータリー定款に掲げられているロータリーの綱領の趣旨にかない、これを乱す恐れのない社会奉仕活動によってのみ、その標準化を図ること。

  4. 奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことを言うのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。
     そこで、ロータリークラブの団体的行動は次のような条件の下に行うよう勧められている。
     いずれのロータリークラブも、毎年度、何か一つの主だった社会奉仕活動を、それもなるべく毎年度異なっていて、できればその年度内に完了できるようなものを、後援するようにすることが望ましい。
     この奉仕活動は、地域社会が本当に必要としているものに基づいたものであり、かつ、クラブ全員の一致した協力を必要とするものでなければならない。これは、クラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためにクラブが継続的に実施しているプログラムとは別に行われるべきものとする。

  5. 各ロータリークラブはクラブとして関心があり、またその地域社会に適した社会奉仕活動を自主的に選ぶことについては絶対的な権利をもっている。
     しかし、いかなるクラブも、ロータリーの綱領を無視したり、ロータリークラブ結成の本来の目的を危うくするような社会奉仕活動を行ってはならない。
     そして国際ロータリーは、一般的な奉仕活動を研究し、標準化し推進し、これに関する有益な示唆を与えることはあっても、しかし、どんなクラブのどんな社会奉仕活動にせよ、それを命じたり禁じたりすることは絶対にしてはならないものとする。

  6.  個々のロータリークラブの社会奉仕活動の選択を律する規定は別に設けられていないが、これに関する指針として以下の準則が推奨されている。

    (1) ロータリーの会員の数には限りがあるので、ロータリークラブは、市民全体の積極的な支持なくしては成功しえないような広範囲の社会奉仕活動は、ほかに地域社会全体のために発言し、行動する適切な市民団体などの存在しない土地の場合に限り、これを行うこととすべきであり、商工会議所のある土地では、ロータリークラブはその仕事の邪魔をしたり、横取りをしたりすることのないようにしなければならない。
     しかし、ロータリアンとしては、奉仕を誓い、その理念の教えを受けた個人として、その土地の商工会議所の会員となって活躍すべきであり、また、その土地の市民として、他の善良な市民と一緒に広くすべての社会奉仕活動に関与し、その能力の許す限り、金や仕事のうえでその分を果たすべきである。

    (2) 一般的に言って、ロータリークラブは、どんな立派な事業であっても、クラブがその遂行に対する責任の全部または一部を負う用意と意思のない限り、その後援をしてはならない。

    (3) ロータリークラブが奉仕活動を選ぶ場合に宣伝をその主たる目標としてはならないが、ロータリーの影響力を拡大する一つの方法として、クラブが立派に遂行した有益な事業については正しい広報が行われるべきである。

    (4) ロータリークラブは、仕事の重複を避けるようにする必要があり、総じて、他に機関があり、それによって既に立派に行われている事業に乗り出すようなことをしてはならない。

    (5) ロータリークラブの奉仕活動は、なるべく現存の機関に協力する形で行うことが望ましいが、現存機関の設備や能力が目的の遂行に不十分である場合には、必要に応じ、新たに機関を設けることにしても差し支えない。ロータリークラブとしては、新たに重複した機関をつくるよりも、現存の機関を活することのほうが望ましい。

    (6) ロータリークラブはそのすべての活動において、宣伝者として優れた働きをし、多大の成功を収めている。ロータリークラブは地域社会に存在する問題を見つけ出すことはしても、それがその地域社会全体の責任にかかわるものである場合には、単独でそれに手を下すようなことはしないで、他の人々にその解決の必要を悟らせる努力をし、地域社会全体にその責任を自覚させて、この仕事がロータリーだけの責任にならないで、本来その責任のある地域社会全体の仕事になるようにしている。
     また、ロータリーは、事業を始めたり、指導したりするが、一方、当然それに関心をもっていると考えられる他のすべての団体の協力を得るよう努力すべきであり、そして、当然ロータリークラブに帰すべき功績であっても、それに対する自分のほうの力を最小限度に評価して、そのすべてを協力者の手柄にするようにしなければならない。

    (7) クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広くすべてのロータリアンが個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神によりかなっているといえる。
    それは、ロータリークラブでの社会奉仕活動は、ロータリークラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられたいわば研究室の実験としてのみこれを見るべきであるからである。   

        (23-34,26-6,36-15,51-9,66-49)


  In Rotary, community service is to encourage and foster the application of the ideal of service by every Rotarian to his personal, business and community life. 
In carrying out this application of the ideal of service many clubs have developed various community service activities as affording opportunities for service by their members. For the guidance of Rotarians and Rotary clubs and to formulate a policy for Rotary toward community service activities, the following principles are recognized and accepted as sound and controlling:

1. Fundamentally, Rotary is a philosophy of life that undertakes to reconcile the ever present conflict between the desire to profit for one's self and the duty and consequent impulse to serve others.
This philosophy is the philosophy of service - "Service above self" -
and is based on the practical ethical principle that "He profits most
who serves best"

2. Primarily, a Rotary club is a group of representative business and professional people who have accepted the Rotary philosophy of service and are seeking:
 First, to study collectively the theory of service as the true basis of
Success and happiness in business and in life; and second, to give,
collectively, practical demonstrations of it to themselves and their
 community; and third, each as an individual, to translate its theory into
 practice in his business and in his every day life; and fourth,
 individually and collectively, by active precept and example, to stimulate
 its acceptance both in theory and practice by all non-Rotarians as well as
by all Rotarians.

3. RI is an organization that exists
a) for the protection, development, and world-wide propagation of the
   Rotary ideal of service;
b) for the establishment, encouragement, assistance, and administrative
supervision of Rotary clubs, and
c) as a clearing house for the study of their problems and, by helpful
suggestion but not compulsion, for the standardization of their
practices and of such community service activities, and only such
community service activities, as have already been widely
demonstrated by many clubs as worthwhile and as are within, and
will not tend to obscure, the object of Rotary as set out in the
constitution of RI.

4. Because he who serves must act, Rotary is not merely a state of mind,
Nor Rotary philosophy merely subjective, but must translate itself into
objective activity; and the individual Rotarian and the Rotary club must
put the theory of service into practice.
 Accordingly, corporate action by Rotary clubs is recommended under the
 Safeguards provided herein. It is desirable that every Rotary club
Sponsor a major community service activity each fiscal year, varied from
year to year if possible and to be completed if possible before the end of
the fiscal year. This activity is to be based upon a real community need
and should Require the collective cooperation of all its members.
This is to be in addition to the club's continuing its program for the
stimulation of the club members to individual service within the
community .

5. Each individual Rotary club has absolute autonomy in the selection of
such community service activities as appeal to it and as are suited to its community; but no club should allow any community service activity to obscure the object of Rotary or jeopardize the primary purpose for which a Rotary club is organized; and RI, although it may study, standardize and develop such activities as are general and make helpful suggestions regarding them, should never prescribe nor prescribe any community service activity for any club.
6. Although regulations are not prescribed for an individual Rotary club
in the selection of community service activities, the following rules are
suggested for its guidance:

(ア) Because of the limited membership of Rotary, only in a community where there is no adequate civic or other organization in a position to speak and act for the whole community should a Rotary club engage in a general community service activity that requires for its success the active support of the entire citizenship of the community, and, where a chamber of commerce exists, a Rotary club should not trespass upon nor assume its functions, but Rotarians, as individuals committed to and trained in the principle of service, should be members of and active in their chamber of commerce and as citizens of their community should, along with all other good citizens, be interested in every general community service activity, and, as far as their abilities permit, do their part in money and service.

(イ) As a general thing, no Rotary club should endorse any project,
No matter how meritorious, unless the club is prepared and willing to assume all or part of the responsibility for the accomplishment of that which it endorses.

(ウ) While publicity should not be the primary goal of a Rotary club in
selecting an activity, as a means of extending Rotary's influence, proper publicity should be given to a worthwhile club project well carried out.

(エ) A Rotary club should avoid duplication of effort and in general should not engage in an activity that is already being well handled by some other agency.

(オ) A Rotary club in its activities should preferably cooperate with existing agencies, but where necessary may create new agencies where the facilities of the existing agencies are insufficient to accomplish its purpose. It is better for a Rotary club to improve an existing agency than to create a new and duplicative agency.


(カ) In all its activities a Rotary club acts best and is most successful as a propagandist. A Rotary club discovers a need but, where the responsibility is that of the entire community, does not seek alone to remedy it but to awaken others to the necessity of the remedy, seeking to arouse the community to its responsibility so that this responsibility may be placed not on Rotary alone but on the entire community where it belongs; and while Rotary may initiate and lead in the work, it should endeavor to secure the cooperation of all other organization that ought to be interested and should seek to give them full credit, even minimizing the credit to which the Rotary club itself is entitled.

(キ) Activities which enlist the individual efforts of all Rotarians generally
are more in accord with the genius of Rotary than those requiring   only the mass action of the club, because the community service activities of the Rotary club should be regarded only as laboratory experiments designed to train members of a Rotary club in service.
  
  (23-34,26-6,36-15,51-9,66-49)
   [ 1923 Annual Convention at St. Louis ] 
   (1923年セントルイス大会決議)
   
  (「ロータリーの源流」、田中毅PG 作成より抜粋)


<ポール・ハリスから引き継がれた初期ロータリーの指導者たち〔3〕>

(10) クロフォード・C・マッカロー ( Crawford C. McCullough )
 第11代RIP、マッカローはカナダ、オンタリオ州フォート・ウイリアムで耳鼻咽喉科専門医として開業していた。彼は同州のガナノクの生まれ、同州キングストンにおけるクィーンス大学を卒業し、後にニューヨーク、ボストン、ロンドン、パリ、フライブルグ、ウイーン、及びベルリンの諸大学の大学院に学んだ。
 マッカロー博士のロータリー歴は、1916年に出来たフォート・ウイリアムRCの創立会員であり、その会長をつとめた。
 国際ロータリーにおいては、1921/22年度の会長をつとめたが、その他副会長、地区ガバナー、ロータリー財団名誉管理委員、その他多数の委員会の委員、または委員長として奉仕している。
 彼は1934年に日本に来訪し、北海道にまでその歩みをのばした。
 彼はカナダ国立外科医大学及びアメリカ外科医大学の評議員、サンダーベー医師会会長をつとめた。
 なお彼はフォート・ウイリアム商業会議所会頭、及び西北オンタリオ連合商業会議所会頭をもつとめた。
    
(11) レーモンドM. ヘーブンス( Raymond M. Havens )
  1922/23年度・国際ロータリー会長(第12代RIP)である、レーモンドM. ヘーブンスは、RI会長としては早死にの方で、会長をやめてから10年余で死去した。
 彼は米ミズリー州の出身であって、カンサスシティにおいてゼー・ディー・ヘーブンス印刷会社を経営し、その社長として彼の最後の日である1934年12月2日までつとめた。
 彼はカンサスシティーRCの会員として20年以上活躍し、その会長もつとめた。
 国際ロータリーにおいては、その会長として活動し、副会長、各種委員会の委員、委員長を歴任した。特に、職業奉仕で大切な労使関係委員会の委員長をつとめ、その報告を1920年のアトランティック・シティー大会で報告している。
 この報告はロータリーの根本的奉仕である、「職業奉仕」の発展に寄するところ大であった。


 (12) ガイ・ガンデェカー ( Guy Gundaker )
 第13代RIP、ガイ・ガンデェカーは1923/24年度の国際ロータリーの会長をつとめた。
 彼は米ペンシルヴァニア州の古都、フィラデルフィアにおけるクグラー洋食店の社長であり、支配人であった。
 彼は同州のランカスター生まれ、ニューヨーク州ゼネバにあるコーネル大学、及びペンシルヴァニア州立大学で法律学を修め、1902年に弁護士会に入会した。
 彼のロータリー暦は、フィラデルフィアRCの創立会員で、その会長をもつとめた。
 国際ロータリーでは、会長、副会長、理事及びCommittee on Philosophy and Education を始めとする各種委員会に奉仕している。
 彼は特に今日エバンストンにある国際ロータリーの本部ビル建設委員会の委員長として活動し功績を残した。 加えて、彼は「ロータリー通解」の著者としても広く知られている。
 彼がRI会長に在任している時に起こった日本の「関東大震災」に即応し、RIの義損金25,000$を取り纏め、送ってきた。したがって我国のロータリーの歴史にも少なからぬ影響を与えた人物である。
 社会人としての彼は、米国レストラン協会の結成を援助し、同協会の営業規律の草案を作った。
 彼はまた、他の商業組合の結成を援助し、各種の業務規律を作っている。
 彼はフィラデルフィア商業会議所の理事、及び全米商業会議所において、レストラン業者の代表者を永くつとめ、その農業委員会の委員として活躍した。
 1960年8月26日彼はその生涯に幕を閉じた。

※ ガンデェカーの「ロータリー通解」より
 ロータリアンがその町・州および国に対して負う義務と責任を一言で表わせば、「良き市民たれ!」ということになる。・・・各ロータリアンは自分の住む都市についての十分な知識と、都市の一般的福祉についての強い関心と、都市生活と都市の歴史に理解を寄せる心とを持たねばならない。
 自分の住む町に対する市民としての情熱を示す最良の活動は、慈善的、博愛的、公共的その他の団体のメンバーになることである。
 ・・・「ロータリーの世界」は会員をより良き市民、商業団体のより良き会員、各自の属する都市と国とに一段と有為な者たらしめるよう訓練を行うものである。・・・ 
 大なる義務を追わんよりは、ひたすらロータリーの細き義務を果たすべし。
 されば、ロータリーの歯車は円滑にして互いに相和するを得ん!

※ 大戦後の米・共和党政権の経済政策 (講談社-新書アメリカ合衆国史)
 大統領になった三人の共和党員! - 第一次世界大戦はいみじくもスウェーデンの宰相オクセンスティエルンの「何とわずかな知恵で世界は統治されていることか」( Quantula sapientia mundus regitur )という悲嘆に裏打ちされるように、開戦時も、継戦時も、そして終戦時も多くの誤りを抱えて推移した。
 大戦は戦勝国も、敗戦国も、区別することなく、疲弊の極みに叩き込んだ。
 まさに国家はその限りを越え、暴走し、そのつけを国民に廻したのだ!
 大義の夢やぶれた戦後のアメリカには保守化の波が襲った。
 理想主義の炎はほとんど燃え尽き、アメリカ人の公共的精神と良心と希望は疲れ、色褪せた。
 1920年の大統領選挙では、共和党の候補ウォーレン・ハーディングが「常態への復帰」をスローガンに地滑り的大勝利を収めた。
 翌21年3月から、12年間にわたる共和党政権のの時代が始まる。
 ハーディングはユリシーズ・グラントと並んで、アメリカ史上最も無能な大統領と言われる。
 心暖かく、寛大で、顔立ちが良く、人好きのする彼は大統領になるべきではなかった。彼の父親は息子に言ったという。「お前が女に生まれなかったのは良いことだ。お前はノーが言えないのだ」。
 彼はあまりにも多く「イエス」と言い、旧友を多くの官職に任命した。彼が任命した旧友の司法長官、内務長官、復員軍人局長は大規模な収賄をやり、ハーディングは西部への遊説旅行中に病気になり急死した。死因をめぐっては自殺説を含めてさまざまな憶測が流れたが、ともかく部下たちの汚職が明らかになることを心配したことが、彼の死を早めたのは確かである。
 ハーディングに代わって大統領に昇格したカルビン・クーリッジはハーディングとは正反対の性質で、勤勉節約という伝統的美徳の権化と思われていた。
 大統領の給与の多くを貯金した珍しい大統領であった。「アメリカのビジネスはビジネスである」、「工場を建てる者は寺院を建てる者である。そこで労働者は礼拝するのだ」という彼の言葉は広く知られている。
 ビジネスのための政治を行い、彼の任期中は「クーリッジ景気」が続いた。政府は自信たっぷりだった。 1928年の選挙戦で、共和党の候補、ハーバート・フーヴァーは 約束した。
 「我々は間もなく、貧困が我国から消え去る日を見ることだろう」。
 そして大統領就任演説で彼は言った。「私は我国の未来に何の心配もしていない。それは希望で輝いている」。しかし皮肉なことに、「没落への道!、大恐慌」は間近に迫っていたのである。多くの対立を内包して!