ガバナーになりますには,アメリカのサンディエゴで国際協議会に一週間出席しなければなりません。
今年は1月の18日から1月の24日の一週間にわたりまして協議会がございました。この時に,RIのジョン・ケニー会長の今年度のテーマの発表がございました。「ロータリーの未来はあなたの手の中にある」というテーマの発表です。それから本年度の最重要項目,水,保健,飢餓それから識字率の向上という4つのテーマがあげられました。
それで,水はどういうことかと申しますと,石油は無くても生きられますよね。でも水が無ければ1日も生きられませんよね。世界には水が無い国というのがまだ多いんです。それでロータリーはこういう人道的なプログラムをまず真っ先に取り上げようと言うことで行っております。
RIが本腰を入れて大きなプロジェクトとしてやっていることはあまりないんですね。各個々のクラブがそれぞれ係わってやっていただいております。例えば井戸を掘るとか,貯水池を作るとかいうことをやっておりますけれども,これが抜本的な解決にはなりません。
で,水はですね,そういう途上国では女性とか子供が往復10q位の道を毎日1日2回でも3回でも汲みに行かないといけないわけなんですね。そうすると女性は仕事が出来ませんし,子供は学校には行かれません。しかも不衛生な水ですから当然保健的には非常なダメージを受けますし,働けませんから飢餓が生じます。それから学校にも行けませんから識字率も低下します。そんなようなことで4つがぐるぐる回ってエンドレスという形で、各国で非常に困っている問題でございますけれども,これが解決できないのは結局その国の政治が悪いんでしょうし,その気候や地域が悪いのだと思うのですけれども,そういうことをロータリーは1つの大きなプロジェクトにしております。
またその本会議では、今年の再重要部門というのがまた別に発表されます。これは恐らく各クラブの活動計画書にお書きになってらっしゃると思いますけれども,今言いました水と識字率に含めましてポリオ撲滅というのが最大のテーマでございます。
1985年からロータリーが係わっているプログラムでございまして,初めは5年でポリオ撲滅ということで初めた運動ですけれども,とてもとても5年では全然終わりませんでした。現在も千数百人の患者が存在しております。世界4カ国で宗教の問題とかあるいは経済的な問題で摂取が受けられないという人がいるわけですね。それで東南アジアでは戸籍が無いところも多いわけですから,どこに子供がいるか分からないわけですね。しかも水上生活者がいるということで探すのが大変ということもございます。そういうことでポリオというのは,撲滅するまでということで今も取り上げられております。
それから,寄付金についてですが、我々はいったいこれがどういう風に使われてどうなるのかっていうことをよくわからないんですけれども,大きくRIのプロジェクトを見て頂ければどういう風に使われているかということもお分かりいただけると思います。
ただ,日本の場合はロータリー財団が係わるプログラムの大きなものは小川さんがたずさわってくださっております世界平和フェロー,それから国際親善奨学生それからGSEあるいは青少年交換といったものなのですが,これがRIのリーマンショック以来の財政の悪化で見直しを迫られているわけです。
どういう風に見直されるかと言いますと,未来の夢計画ということで新補助金制度というものを作って,教育的なプログラムをおさえて人道的なプログラムの比重を増そうという形で改革が進められているわけです。
例えばグローバル補助金といいまして国際親善奨学生の人員も減らすというような方向に向いているわけで,これは我々にとりましては非常に残念なことですし,ロータリー財団の非常なダメージにもなりますので,この間の財団セミナーでも色々な質問や希望が出ましたけれども,是非これは削らないでくれと言うことを言っているんですが,RIの方針では中々難しいような感じでございます。
ただですね,この国際親善奨学生が作ったクラブも増えてきました。神奈川県では超法規的ではありましたけれども神奈川湘南ロータリークラブというものができまして,みなさん張り切ってやっていらっしゃいます。これも財団奨学生のOBあるいはGSEの学友,そういう方々のクラブでございます。こんなことで,是非この奨学制度のカウンセラー制度を維持しようということで我々も頑張っておりますけれども,RIの方針は新補助金制度に向かっているようですが,とにかくうちの地区と致しましてはその奨学生制度を維持するために一人180ドル以上をお願いしております。
それから,ちょっと米山のことをお話ししたいと思います。米山は会員が12万くらい国内にいた頃は約20億の寄付金が集まったわけです。ところが現在は会員が減りました。9万5千人を割るようになっておりますので,14億くらいしか集まりません。多いときは1,000名の奨学生を支援しておりましたけれども,現在は800名に減らしております。それでも14億では足りないんですね。それで基金を取り崩して充当しておりますけれども,このまま会員減少が続きますと更に600人くらいに減らさないといけないかなとは思っております。
去年は13億5千万しか資金が集まらなかったのですが,名古屋のある社長さんが会社を上場する時に1億円の利益がでたということで米山に寄付してくれましたので14億5千万になりまして,まあまあ去年は安泰だなということになったんですが,また今年はどうなるかということで心配しております。
この米山はご存知だとは思いますけれども日本のロータリーを作りました米山梅吉さんの第二次世界大戦で迷惑をかけた人々に恩返しをしたいという気持ちで始まった制度ですので,東アジアや東南アジアの人たちが多く、戦後すぐは台湾の方が80パーセントだったのですが,現在は中国・韓国の方が60パーセント以上となっております。
去年100人もの多くの人が北京で学友会を立ち上げたと言われておりますけれども,政府もこれを進んで指示したと伝えられております。みんな学友は親日的といいますか,よく日本を理解するというような非常な効果が現れているわけです。色々寄付のことで大変ではございますけれども,1人2万円という形でご理解を頂ければありがたいという風に思っております。お願いすることばかりで本当に申し訳ないんですけれども。
それから,協議会の時に本会議でビル・ゲイツさんが特別講演でおいでになったんです。普通の背広を着まして,野球帽のような物をかぶりまして30分以上にわたって熱弁をふるわれました。
ゲイツさんは2年前にロータリーに1億ドル寄付して下さいましたね。RIでもそれに応えて1億ドルの基金を3年間にわたって集めようという形で始めたんですけれども,その時更に2億5,500万ドル寄付するという発表がありまして,皆さん総立ちで拍手したんですが。アメリカの税法ですと寄付する場合には相手側もやはりなにがしかの寄付をしないといけないということが決まっているらしいですね。そんなことでまた1億ドルRIが集めなければならなくなったんです。
それから,あと職業奉仕についての講演がありまして,これは元RIの会長でありましたインドのサブーという方がいらっしゃいまして,この人が本会議で職業奉仕についてのお話しがございまして,職業奉仕というのは今非常に忘れられた部門になっているわけですね。1業種1人の線が崩れて多くの人が同じ職業分類でとれるということになりましたので,職業奉仕の観念が薄れてきたんじゃないかという風に思われているわけですね。
そこを色々事例を挙げながらいかに職業奉仕がロータリーにとって基本的な考え方のもとであるかということをお話しになりまして,これは非常な会場で大きな喝采をあげました。
CLPになりまして,職業奉仕が単独した部門よりも奉仕プロジェクトの中に入ってしまっていますので,印象が薄くなってしまったのですけれども,職業奉仕の理念というのは本当にロータリーの基本をなすものですから,これは是非認識してほしいものであります。
あとはやはり会員状況と言うことでありました。増強しろ増強しろと言いましても中々皆さん耳にたこができてますし,実際に状況が難しい状況にあります。大体会員が1年に1割弱は自然に減ってしまいます。事業の不振とかお亡くなりになったとかということで1割くらい減ります。ですから,放っておけば10年でロータリーは壊滅しますよ。ですからそこを考えて頂きまして,10年放っておいたら自分のクラブがどうなるんだろうということを考えて頂きまして,当然これは会員を増強しなければいけないなということになりますよね。ですから,是非会員は勧誘しなければクラブの前途がどうなるかということをお考え頂いて行動して頂ければと思います。
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