相模原グリーンロータリークラブ
↑ トップページへ ↑

相模原グリーンロータリークラブ
第803回例会週報

2008-09週報目次
◆「平成21年度税制改正のポイント」
井上栄次 会員

2009(平成21)年度法人税の主要な改正ポイント
「法人税の軽減税率のさらなる軽減」
 まずは法人税からです。法人税では、中小企業に対する軽減税率の引き下げが行われました。これまでは、資本金1億円以下の中小企業に対しては、所得800万円以下の部分に対して22%の軽減税率が適用されていましたが、その税率が18%に引き下げられています。ただし適用されるのは、2009年度4月1日から2011(平成23)年3月31日までの間に終了する事業年度となっていて、2年間の時限措置となっています。 資本金1億円以下の中小企業等に適用されますが、資本金1億円以下かどうかは期末時点で判定されます。また資本金1億円以下の中小企業以外にも、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等にも、この軽減税率は適用されます。
税率が引き下げられるのは法人税だけですが、法人住民税は法人税をもとに計算されるため、法人税が下がれば、法人住民税も自動的に減ることになります。仮に法人住民税を17.3%として計算すれば、(22%−18%)+(22%−18%)×17.3%=約4.7%となり、法人税と法人住民税を合わせた減税幅は約4.7%となります。これは所得800万円以下の部分についての適用ですので、減税の最高額は800万×約4.7%=約376,000円となります。

「欠損金の繰り戻し控除」
 これまでは設立5年以内の青色申告法人等に限定されていた「欠損金の繰戻還付」が、中小企業に限って復活することになりました。欠損金の繰戻還付とは、当期の赤字を前期の黒字と相殺し、すでに支払済の法人税の還付を受けられる制度のことです。適用は、2009年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額からとされています。
 地方税である法人住民税については、法人税のように直接的な還付は行われませんが、今後7年以内に支払う法人住民税と相殺することができます。

「省エネ設備投資促進税制」
 省エネ設備投資を促進するために、2009年4月1日から2011年3月31日までの2年間に取得等をした一定の省エネ設備等については、事業供用した事業年度において即時償却ができる制度も新設されました。取得価額要件はありませんので対象設備を購入し、自社で事業供用した青色申告法人であれば、大企業、中小企業問わず適用できます。ただし、リースの場合には適用されません。

2009(平成21)年度所得税の主要な改正ポイント
「住宅取得控除の拡充」
 個人においても減税項目がずらりと並んでいます。まず、住宅ローン控除の控除限度額が大幅に拡大されました。2009・2010(平成22)年居住開始分に限って言うと、通常住宅の場合、控除限度額は年間最大50万円、長期優良住宅の場合には、年間最大60万円に拡大されています(控除期間は10年間)。
上記金額は所得税から控除され、控除しきれない金額は、総所得金額の5%(最高97,500円)を限度として、住民税からも控除できることとなりました。その他自費で長期優良住宅を新築したり、自費で省エネ改修工事、バリアフリー改修工事をした個人にも新たな税額控除制度が設けられています。  「証券優遇税制延長」  証券優遇税制については、上場株式等の譲渡所得、配当所得ともに、2011年末までは、現行の10%軽減税率を維持することとしています。また、2012年からは新たに少額投資非課税制度を設けることとし、同じ2012年からは生命保険料控除の見直しも行われる予定です。

2009(平成21)年度不動産関係の改正ポイント
 低迷している不動産取引を活発化するため、土地売却についても優遇税制が設けられました。2009年1月1日から2010年12月31日までの間に取得した国内の土地を譲渡した場合に、譲渡年1月1日において所有期間が5年超であれば、土地売却益から最大1,000万円を控除することとしています。これは、個人・法人とも適用対象とされています。その他、2009・2010年中に土地等を先行取得した場合の圧縮記帳制度も新設されました。

2009(平成21)年6月以降に施行された改正ポイント
 2009年はさらに追加経済対策において、6月にも税制改正法案が可決されています。改正項目は3つあります。
  1つめは、中小企業に対する交際費課税の優遇枠の拡大。改正前は、資本金1億円以下の中小企業の場合、400万円までの交際費は90%が損金に算入され、400万円を超えた部分は税金を計算する上では、経費にはなりませんでした。それが、今回の改正により、この400万円の優遇枠が600万円に拡大されました。具体的には、これまで360万円(400万円×90%)だった損金算入枠が540万円(600万円×90%)になっています。この改正は平成21年4月1日以後終了事業年度より適用となります。なお改正後も、社外飲食費の5,000円特例はこれまでと同様に使えます。
  2つめは、直系尊属からの住宅取得等資金贈与についての改正です。20歳以上の子供が親や祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、500万円までの贈与を非課税にするという改正です。これは暦年贈与にも、相続時精算課税贈与にも使え、2009年1月1日以降の贈与について遡って適用されます。暦年贈与の場合には、従来の110万円の非課税枠がありますので、合計610万円までの住宅取得等資金贈与が非課税となります。相続時精算課税の場合には、住宅取得等資金贈与については、従来の3,500万円の非課税枠がありますので、合計4,000万円までの贈与がいったん非課税となります。ただし、この場合、精算課税の3,500万円は相続時には相続財産に足し戻されますが、今回の500万円非課税は足し戻されることなく、名実ともに完全に非課税となります。
  3つめは、研究開発税制の拡充です。2009年4月1日から2011年3月31日までの間に開始する事業年度において、税額控除限度額を法人税額の20%から法人税額の30%に引き上げることとしています(他の制度と組み合わせると最大40%になります)。