専門用語が多く、一般の市民には、なかなかわかりづらい相模原市の財政について、中学生でも理解できるようにと、相模原市が昨年度から作成している「予算事始」という冊子とそれを補足するパワーポイントを用いて説明があった。クイズ形式での解説や、グラフを用いて、21年度の予算の内容のみならず、過去10年間の決算ベースでの状況変化や、県内他都市や類似の中核市等と比較した状況について説明等がなされた。
説明内容は、相模原市の予算(予算とは?、会計とは?、予算規模等)、歳入・歳出の状況と市の財政状況についてであった。
相模原市の予算については、「予算」は市長や市議会を通じて間接的に市民の意向を反映させながら作成されていること、民間企業は決算重視であるが、市や県、国では予算が重視されていること、市の予算規模は一般会計では2,000億円を超え、10の特別会計を合わせた全会計では、3,300億円を超える規模であること等が説明された。
歳入については、平成21年度当初予算の歳入に占める市税収入の割合がクイズ形式で出題され、その割合が50%を超える54.6%であることが説明された。市税収入の割合については、平成19年度の決算で、相模原市に規模が類似している人口40万人以上の17中核市の平均値が50%を切っているのに対し、相模原市は50%を超えており、また50%を超えている市は相模原市を含め17市中7市しかないことも示された。
歳入のうち、市の借金にあたる市債について、メリット、デメリット等の説明があった。市債には世代間の負担の公平を図るメリットがある反面、その返済に当たる公債費が将来の財政の硬直化をもたらす恐れがあるというデメリットもあるとのことであった。また市債の中でも「臨時財政対策債」という国全体で交付税の不足する分を国が各自治体に借金をさせ、その返済について交付税の算定に反映させるという制度についても説明があった。この制度はいわゆる建設のための地方債と異なり、普通交付税の不交付団体である相模原市にはメリットが少なく、また今年度までの制度であるため、今後の動向に注目すべきとのことであった。
歳出については、目的別と性質別で説明があった。目的別では民生費の割合が非常に高く、年々増加傾向にあることが説明された。一方で、土木費は減少傾向にあるとのことであった。
性質別では、人件費、扶助費、公債費といったその支出が義務付けられ、任意に節減することができない義務的経費を縮減することが重要であること、相模原市に限った事ではないが扶助費の割合が年々高まっている傾向にあり、将来の財政運営上の課題であること、一方で、建設工事等の費用である普通建設事業費の割合は減少傾向にあることについて説明があった。
相模原市の財政状況については、年収500万円の家計に例えて説明がされた。新たな借金と借金の返済のバランスに関係して、プライマリーバランスについての説明があり、21年度予算ではプライマリーバランスは黒字とのことであった。
次に相模原市の財政状況について説明があった。新たに制定された財政健全化法に基づき、自治体の財政状況が安全な状況か、イエローカードやレッドカードを出される状況か否かを判断する健全化判断比率の県内各市の状況について説明があった。相模原市は、比較的財政状況が良い神奈川県内の都市の中でも、財政状況が良いほうから3番か4番目くらいの状況であるとのことであった。
最後に、締めくくりの言葉として、相模原市の財政状況は比較的健全な状況であるが、100年に1度の経済状況等を踏まえ、この厳しい状況の中でも、市民サービスを低下させることなく、健全財政を維持したいとのことであった。
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