今日は、少し真面目に税理士らしく消費税のポイントについて話をさせていただきます。皆さんが勘違いをしているかもしれない点および重要点についても少し触れさせていただきます。
一つには、コクヨの現金出納帳などのフォーマットが消費税導入前と同じであること。
せめて課税区分と税率区分の項目を追加していただかないと正しい仕分けはできない正しい仕分けができないということは、正しい試算表ができないということで、ひいては正しい利益が計算できないということです。消費税において課税区分、税率区分の判定は非常に重要です。
二つには、課税区分、税率区分についての正しい認識が国民の皆さんにまったく提供されていないこと。
ほとんどの人がもらった消費税から支払った消費税を引いたものが自分の支払わなければならない消費税だと思っていることです。
実はこれは間違いです。消費税については払った消費税も、もらった消費税も関係ありません。何らかの対価としてもらった収益については消費税をもらわなくても、課税売り上げになるし、対価性のない収益についてはたとえ消費税付でもらったとしても課税売り上げになりません。逆の費用に関しても同じです。たとえ消費税つきで支払った費用であっても対価性が無いものは、課税仕入にならないし、また消費税をもらうもらわないに関わらず対価性があるものは課税仕入になります。消費税の課税区分はこの対価性のあるなしで判断することが重要です。
次に、課税区分は、課税になるかならないかの二つの区分だけではありません、課税区分は、課税取引、非課税取引、課税対象外取引の三つの区分に区分します。この非課税取引と課税対象外取引の区分が非課税取引のウエイトが大きい業種では重要です。
次に 税率区分ですが、これは5%課税と一時期前の3%課税、それと0%課税の三つの区分があります。現在3%課税はほとんど出てくることが無いので、気をつけるのは0%課税だけです。この0%課税とは、輸出、海外に対する売り上げです。
課税売上および課税仕入の区分で気をつけなければならないのは、非課税取引と課税対象外取引との区分です。
受取配当金は課税対象外取引、受取利息や受取地代は非課税取引、居住用の家賃の支払いは非課税取引、事務所の家賃は課税取引。給与は課税対象外取引、支払い保険料は非課税取引といった具合です。これらの区分は、課税売上に対応する課税仕入を計算する場合個別対応方式を選択した場合に明らかに重要になります。比例配分方式の場合にはそれほど重要ではありません。ただ私の経験から言えば大部分の場合個別対応方式の方が税額は小さくなるようです。会計事務所では比例配分方式の方が楽なので比例配分で計算していることが多いように見受けられます。注意してみてください。
追
今度、森山書店という出版社から実務簿記の本を出版することになり、その本の中の日々の記帳の方法(各種出納帳や仕訳帳、総勘定元帳への転記など)のパートを私が担当して書くことになりました。
そこで気がついたのですが、日々の帳簿のフォーマットが消費税導入前と導入後で違っていないのです。
消費税が導入されたということは、ひとつの取引が実は今までと違って一つの仕分けで表現されるのではなく二つの仕分けで出来上がっているのは言うまでもありません。つまり105万円の現金仕入れは、帳簿にはただ単に105万円の仕入れとして記帳するだけですが、仕分けでは、借方 仕入100万円 貸方 現金100万円という仕分けと借方 仮払消費税5万円 貸方 現金5万円という仕分に分けられます。
上記は費用性支出を表現する仕分けで、後者は費用との結びつきが現在も将来もありえない中性支出を表現する仕分けです。
費用性支出と中性支出はその性質が違う支出ですから明確に区分する必要があります。
ところがこの区分をするのが実は消費税を付しているかどうかではなくて対価性があるかないかであることは上の説明で述べたところです。日本の消費税がいかに難しいもので疑問に満ちたもので簿記を複雑にしているか、皆さんも一度確認してみてはいかがでしょうか。
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