相模原グリーンロータリークラブ
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第609回例会週報

608回 | 610回 | 2005-06週報目次
◆医療界最近の問題
浮田 会員
児童虐待

児童虐待とは、親または親に代わる養育者が、児童の身体を傷つけ、児童にわいせつな行為を行い、児童の心身の正常な発達を妨げ、ネグレクトと呼ばれる心理的な外傷を与える行為を言う。

 このような児童虐待の事件が急激に増え、深刻な社会問題となっています。これら児童虐待への対応や防止のため平成12年11月に「児童虐待の防止等に関する法律」が施行されました。次いで、近年の児童虐待相談件数の急増に伴い「児童福祉法」および「児童虐待の防止等に関する法律」が平成17年4月に改正されました。このため、相模原市では同年4月1日、児童虐待を含む子供と家庭に関する相談に総合的に対応する「子ども家庭支援センター」が開設されました。

 ここでの、医療機関の役割として、重篤な事例が発見される可能性が高いことから生命に危険のある場合や症状が重度の場合、すぐに入院させ、こどもの安全を図り、外来診療

で対応が可能な場合でも、在宅に戻せばこどもの安全が確保されないと思われる事例は可能な限り入院を保護者に勧めたりします。そのほか児童相談所や警察への通報も検討されます。

 虐待が生まれるメカニズムについては現在のところ定説はありません。そのうちののひとつに虐待者の心的外傷が考えられています。虐待者も昔虐待を受けて経験を持ち「自分も虐待したものと同じように強い人間になりたい」とする無意識の心理が働いているとゆう仮説があります。この心理は虐待者への「同一化」ないし「理想化」と呼ばれています。     児童虐待は虐待する人たちの心の問題に原因があるため虐待の解決には心のケアが重要であります。


自殺

 わが国では自殺も深刻な社会問題となっています。約2万2000人であった自殺者が、平成10年には約3万2000人と急増して以来、5年連続で3万人を超えています。

自殺の動機は「健康問題」、「経済・生活問題」、「家庭問題」などがありますが、精神疾患によるものも多く、中でもうつ病であったものの割合が高いことが指摘されています。ここでは医療の立場からうつ病との関係を考えてみたいと思います。

 うつ病は、気分を調節する脳機能の障害で起こると考えている気分障害の一型です。うつ病の原因としては一般医療機関で用いられる医療品あるいは各種の内分泌・代謝性疾患、

パーキンソン病などの中枢神経疾患などがあります。

 明らかな原因がなく発症するうつ病を内因性うつ病といいます。しかし、詳細については解っていません。うつ病の診断も簡単ではありません。肝炎や糖尿病のように客観的に、あるいは定量的に数字であらわすことの出来ないからです。米国精神医学会の診断基準をみてみましょう。

 以下の症状のうち、少なくとも一つがある。

1.抑うつ気分

2.興味または喜びの喪失

 さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ(またはそれ以上)が認められる。

3.食欲の減退あるいは増加

4.不眠あるいは睡眠過多

5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)

6.易疲労感または気力の減退

7.無価値観または過剰(不適切)な罪責感

8.思考力や集中力減退または決断困難

9.死についての反復思考

しかし、実際の診断にあたっては当然のことながら医師の経験に基づいた診断によります。

以上簡単ではありますが、うつ病と自殺について述べてみました。